これまで石油給湯器やガス給湯器を利用していたのであれば、エコキュートの設置はかなり大々的な工事になりますし、古いエコキュートから新しいエコキュートに買い換える場合だとこれまでの配管などを利用できるので最低限の工事で済ますことが可能です。ただし、どちらにせよエコキュートを購入した場合、設置工事が必要になります。

設置工事は大きく2つに分けられます。そのひとつが「電気工事」です。配線を繋ぐという工事だけでなく、エコキュートを使用するためには200Vという電圧が必要になってきますので、100V対応の住宅であれば、ブレーカーや分電盤の交換工事を行わなければなりません。またそのための幹線張り替え工事も必要です。費用はエコキュートを配置する場所の距離によっても異なります。また、エコキュートを利用する場合、電力会社への申請（契約の変更）も必要になり費用がかかるのですが、申請代行まで行ってくれるケースもあります。

① 配線工事費用目安／2万～4万円
② 分電盤交換工事費用目安／4万～6万円
③ 幹線張り替え工事費用目安／3万～4万円
④ 電力会社申請費用目安／3万～4万円

すでに200V対応のオール電化住宅に住んでいる場合、電気工事の費用はかなり抑えることができますが、100V対応の住宅の場合は電気工事が最大で18万円ほどかかる可能性があります。

もう一方はエコキュートを実際に設置するための基礎工事や配管工事を含む「水道工事」です。これまで使用していた給湯器を撤去しなければなりませんし、500kgほどの重さになる貯湯タンクを安定させるための工事も必要です。地盤が緩い場合は、砂利を敷き詰めてコンクリートを流し込む現場打ち（土間打ち）という作業となり、時間がかかります（2日～5日）。地盤がしっかりしているのであればコンクリート製の土台となるエコベースを組み合わせて設置するだけになりますので短時間（1日）で工事は完了します。

配管については、フルオートタイプであれば追い焚き配管工事や浴槽に循環口を設置する必要があります。その他に給水配管工事や、排水用のドレン配管工事も必要です。これまで使用していた配管を再利用できる場合もありますが、かなり汚れているのであればこの機会に新しいものに交換しておいた方がいいでしょう。ちなみに配管工事を行っている間は断水となります。工事にかかる時間はおよそ4時間です。別途生活用水をポリタンクに貯めておくなど対策しておくのがいいでしょう。

① 古い給湯器撤去費用目安／5,000円～1万円
② 基礎工事費用目安／2万～4万円
③ 配管工事費用目安／2万～5万円
④ 浴槽循環口設置費用目安／1万円
⑤ 設置・繋ぎ・試運転費用目安／3万～5万円

エコキュートの交換工事であれば安く抑えることができますが、新設の場合だと最大で15万円ほどかかるケースもあります。こうして確認していくと、電気工事、水道工事を合わせて「15万円～30万円」というのがエコキュート新設にかかる工事費用の目安です。逆にエコキュートからエコキュートへの買い換え工事費用は7万円ほどで済ませることが可能です。本体価格の40万～60万円にこの工事費用を上乗せすると、エコキュート全体のイニシャルコストということになります。（販売店や施工業者によって異なります）

エコキュートのひとつひとつの工事費用を見ていくとけっこうお金がかかるなという印象ですが、どこで購入して、どこに工事を依頼するのかでトータルのイニシャルコストはかなり差があります。

エコキュートを購入する方法として、インターネット通販、家電量販店、給湯器を扱っているリフォーム業者、電気屋、訪問販売業者など選択肢がいろいろありますが、一般的には本体価格と設置工事をセットにして販売しているケースが多いです。この場合の工事費は「標準工事」という名称になっています。ポイントとなるのは、「どこまでが標準工事に含まれるのか異なる」という点でしょう。

例えば標準価格が税込172,800円と同じように表記されていても、一方では配管工事まで行ってくれるが、一方では配管工事が含まれていないということもあります。標準工事に含まれていない工事は「追加工事」となり、実際の設置工事はもっと高くなるということです。ですからどこまでが標準工事に含まれているのかを事前にしっかりと確認しておくべきでしょう。

追加工事としては、先ほど紹介した分電盤の交換や幹線張り替え、基礎工事、追い焚き配管工事の他、冬場がかなり寒い地域の場合は配管の凍結防止工事、転倒防止工事、浴槽のほこりや髪の毛を配管に流さないようにする風呂アダプタ工事などが挙げられます。標準工事以外に分電盤や基礎工事なども別途かかるとなると追加工事費用はかなり高いです。そのため表示されているセット価格の安さだけで判断してしまうと、実際に設置工事を行った際に高額な追加費用が発生する場合もありますので、注意が必要です。特に訪問販売では見かけ上の費用の安さをアピールしてきますので気をつけてください。

① 配管に専用ヒーター設置費用目安／1万～2万円
② 貯湯タンクの転倒防止費用目安／1万～2万円
③ 風呂アダプタ設置工事費用目安／6,000円～2万円

地盤や配管、電圧といった環境の違いでエコキュートの工事費用はかなり変わってきますので、1社だけの見積りだと、それが標準なのか高いのか安いのか判断するのが難しくなります。ですから複数の業者に見積りを出してもらい、比較するのが一番いいでしょう。その際に工事一式といったような大雑把な項目になっている場合は、実際に設置工事が始まってから追加費用が発生する可能性が高いですので、なるべく細かく見積りを提示してくれる業者を選ぶことが大切です。現地調査しないとわからない点もありますから、インターネット上だけで契約するのも危険です。

見積りを比較して最も安いところを選びがちですが、あまりにも他と比べて安過ぎるところも手抜き工事などで後々のトラブルに繋がる可能性がありますので、標準の費用で、信頼できる業者を選ぶことをお勧めします。本体価格、工事費用とは別に有料保証もありますが、これはエコキュートの耐用年数である10年分の保証は付けておくべきです。10年間分の工事保証は標準工事の費用に含まれているケースもあります。

いろいろな項目の工事費用をご紹介してきましたが、新規にエコキュートを購入して設置する場合、トータルで工事費が18万円ほどだとかなりお得だと言えるでしょう。後は本体費用がどのくらいになるのかでイニシャルコストが決まってきます。ただし、安さだけで選ぶのではなく、アフターフォローも含めて設置工事を安心して任せられる業者にお願いすることが重要です。

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